この夏の甲子園、第103回全国高校野球選手権大会決勝は、同系列校同士の智辯和歌山と奈良の智辯学園との対戦となった。系列校対決ということもさることながら、両校がパッと見はほとんど同じユニフォームだということも大いに話題になった。

 そんなこともあって、改めて高校野球はユニフォームを語りながら見ていくことも大事なのだなということを再認識させられた。

 ユニフォームはチームの顔でもあり看板でもある。強豪校や名門校であれば、ユニフォームで相手に対してプレッシャーを掛けられることもある。そう考えれば、「ユニフォームは戦う前の最大の武器」ということも言えるのである。そんなユニフォームについて、まずは今回の「智辯対決」を分析していきながら、さまざまなユニフォーム語りをしていきたいなと思っている。

 智辯対決の両校は、白地に漢字二文字を朱色で「智辯」と書かれたものだった。朱色は、学校法人の母体でもある辨天宗の宗教カラーでもあるということだ。だから、この朱色はある意味では智辯学園をシンボライズしたものだとも言える。ことに、奈良の智辯学園の場合は、最大のライバル校ともいえる同じ宗教系の天理の宗教カラーでもある紫とのコントラストにもなっていて、地元の高校野球ファンの間ではすっかり馴染となっている。

 今回の智辯対決、どちらも基本的なデザインとしてはその違いが見つけにくい両校のユニフォームだった。ただ、よく見てみると、随所に微妙な違いがあった。そんな中でも、わかりやすかったのは、左袖のマークである。どちらも、辨天宗の桔梗が描かれているのだが、智辯和歌山は横線が入っている。智辯学園は桔梗の上に高校の「高」の文字が載った校章となっている。そう、実は、両校は校章そのものも微妙に違っているのだ。

 智辯学園の校歌にも「桔梗輝く 学び舎に」と、謳われているように、桔梗は辨天宗のシンボル的な花でもあるのだ。校章そのものも少し異なっていて、智辯和歌山は、桔梗の花の両脇に横線が入っている。また、「高」の字も少し小さい(ユニフォームには、「高」の字は入っていない)。

 さらに、比較してみると、帽子の型にも違いがある。智辯学園はいわゆる平型というか、型を付けやすい形のものだが、智辯和歌山の場合は近年目立つようになってきた丸帽型である。だから、帽子を被った場合には、その違いがわかる人にはわかりやすかった。

 また、ユニフォームの地色に関しても、ともにアイボリーホワイトではあるが、智辯和歌山の方が、より純白に近く、智辯学園の方は、少し地色のアイボリーが強いようだ。さらに、肝心の胸文字に関しても、同じように漢字で「智辯」だが、全体の線は智辯和歌山の方が少し太いかなという印象だ。

 このあたりの差違は、特に意識したというものではなく、たまたま、基本デザインに沿って作られたものが、実はメーカーが異なることによって、地色や書体などが、結果として微妙に異なってしまったということのようだ。

 まあ、パッと見の差違は帽子と左袖ということで区別すればわかりやすい。近畿大会などでも、今後も智辯対決はあり得るだろうから、そんなところを意識してチェックしていくのも、高校野球を見ていくマニアックな楽しさというか、興味深いところであろう。

 なお、次回は漢字表記ユニフォームをもう少し深く掘り下げてみていきたい。

(記事:手束 仁)